ソラマメブログ

2007年08月14日

スキンについてのお話

前回の予告どおり、今回はスキンについての、ちと技術的(?)なお話。

たまに「スキンのテクスチャは陰影を描き過ぎない方が良い」と云った話を聞くのでござるが、拙者は反対意見なのでござる。

CGソフト等のレンダラーを使った画像とは違い、陰影の表現が貧弱なリアルタイム描画を行うSLのビューワーでは、陰影は多少強調するくらいの方が、見栄えは良い筈なのでござる。
ましてや、元のアバターのメッシュがガタガタであるが故に、フェイスライトで陰影を飛ばすのが当たり前のSLでは、テクスチャの陰影に頼るしかないのが現状。

無論、元の肌色の陰影として適さない色で描き込めば、たちまち画像補正を失敗した絵のように見えてしまうのは当然でござる。 陰影の配置やその加減も然り。
人間の顔や身体の形はとても複雑なうえに、だれもが普段良く見ておるものでござる故、ちょっと間違った陰影を付けただけでも違和感を感じてしまうのでござるな。
これを回避するために目立つ陰影を排除していくと、漫画やアニメのような所謂「日本人好み」のスキンになる訳でござる。

もうひとつ、通常の描画作業だけでは陰影を描き込めない理由として、アバターのUV展開が酷い…と云う原因が有り申す。
UV展開というのは、公式HP等で配布しておるアバターの3Dモデルをビロンと開いた状態のテンプレート。 あれがテクスチャを描く為に3DモデルをUV展開した状態のガイドなのでござる。
この展開の仕方が適切で無いため(そうせざるを得ない理由があるのかも知れないが)、リアルな陰影を描こうにも、3Dモデルのとても目立つ部分にテクスチャの継ぎ目が出てしまうのでござる。 海外のリアルなスキンが高価なのは、この継ぎ目を消すために、膨大な手間がかかっておるからなのでござるな。
逆にこの手間をかけていないスキンというのは、継ぎ目の色の違いがモロに見えてしまっているか、その部分には陰影を描かずに単色で処理してあるか…のどちらかの筈でござる。

拙作「OLD MAN AVATAR」の場合、顔の周囲は特に陰影を強調したトーンで、皺や肌の質感、首筋のディテールを描き込んでおり申す。 老人の肌の質感を表現するために、1ピクセルの細かいハッチングを重ねてディテールを掘り起こすような描画をしておる為に、継ぎ目を消す処理は不可欠なのでござる。 そんな訳で…

前から~。

スキンについてのお話

後ろからぁ~。

スキンについてのお話

横かぁら~。

スキンについてのお話

(顔アップ)また横から~。

スキンについてのお話

そして斜めへ私は、受けぇ流があ~すぅ~。♪

スキンについてのお話

ハズしたっぽいのでサラリと受け流してくだされ。

…と、この5方向から加筆修正したテクスチャを貼ってブレンドした後、元のアバターのUVで開き直したものを、更に修正することでテクスチャの継ぎ目を消して居り申す。
(赤いラインは、テクスチャの継ぎ目…はこの辺だったかな~という目安。うろ覚え。w)

しっかり陰影を描きこんである他のクリエイターさんのスキンも、少なからず似たような手順を踏んでおるか…もしくは3Dモデルに直接ペイントできるタイプのソフトウエアを使用するか…さもなくば、テンプレートと3Dモデルのワイヤーの繋がりを、交互にじっくり観察しつつ、描いてはアップロードしてテストを繰り返し、繰り返し…と、気の遠くなるような手間をかけておる筈でござる。

一度、手持ちのスキンを着用して、上図の赤いライン付近をじっくり観察してみて下され。

では、その手間を掛けてないスキンはダメなのか…というと、全てがそう云う訳でもなく、クリエイターさんのセンス如何によっては、その陰影の省略の仕方が絶妙な職人技の場合もあったりするのでござる。 テクスチャリングとは、実に奥が深いものなのでござるな。 またそう云った技術をお持ちの職人さんである程、スキン作りの手間を知っているが故に編み出した技法を会得しておられるのでござる故、手間を掛けた商品と省いた商品では適正な価格差を付けて販売しておったりもするのでござる。

長々と書き申したが、実際の購入、使用にあたっては、

「あたし、この顔メッチャ好み~!!」

…と云う基準で決めるのも宜しかろうと存ずる。
何と云っても、人形(アバター)は顔が命。…と云うのも正解なのでござる。

しかしながら、高額なスキンの中にも、周囲のスキンの値段が高いからそれに合わせた だけの商品があるのも事実。 一生懸命に貯めた大切なお小遣いで、高額スキンを購入するときの、其許の評価の参考にして頂ければ幸いにござる。

最後にまとめとして、つまりは何が云いたいのかと云うと…

「ワシだって、こんなに手間暇かけているのです。 今後の商品が値上がりすることがあっても許してね…;;」

…と云う、布石でござる。

のあああっ お店に石を投げ込むのは勘弁でござるよっ;;
あと、二階まで上がってきて、でっかいプリムを置いてくようなイタズラもね。(←実話)



同じカテゴリー(ものづくり)の記事画像
3D-COATを使ってみたでござる。
KTG「門松&鏡餅」リファインメモ
居合刀「白翁」 WIP02
スカルプト用モデルの最適化
居合刀「白翁」(仮名)WIP
スカルプトが熱い!でござるの2。
同じカテゴリー(ものづくり)の記事
 3D-COATを使ってみたでござる。 (2009-12-19 12:45)
 KTG「門松&鏡餅」リファインメモ (2008-12-14 12:01)
 居合刀「白翁」 WIP02 (2008-11-25 18:22)
 スカルプト用モデルの最適化 (2008-11-23 21:49)
 居合刀「白翁」(仮名)WIP (2008-11-19 13:07)
 スカルプトが熱い!でござるの2。 (2008-10-31 13:25)

この記事へのコメント
うは。

やっぱりジィも5方向なんだ・・・。
自分はスキンはやるつもりないですが、もちっとテクスチャリングがんばろうっと。
Posted by やぶ at 2007年08月14日 10:35
SLは他のMMOと比べると限りなくリアルに近づこうとしてるのに
肝心なアバターのボーンとかメッシュの部分が作りが甘いってのは
残念ですね
これはリンデンでの改造ってかはオープンソースになってからの
住民による改造を待たなきゃなんですかね
あたしは夏休み真っ最中で朝からSLばっかやってますが、
KTGさんはそろそろお仕事開始ですね
寂しくなるけど、頑張ってくださいね
お仕事開始される前にいっこ打ち合わせしなきゃなことあるんで、
少しだけ時間をください
また連絡しますねっ
Posted by RUKIA at 2007年08月14日 10:43
え?w寝てるとこを見つけたら横に茶菓子とか置いていこうと思ったんですけどw

タイタニックもやってきました。ええ。
Posted by Hyla koba at 2007年08月14日 14:22
拝啓、KT爺様

ご老体のご活躍を、たまたま見かけた「武炉具」なるものにて拝見し、ひそかにそのご活躍の足跡を追いかけておりました。

この度、拙者の武炉具から倫区をさせていただきましたゆえ、そのご報告とご挨拶の書き込みをさせていただきました。

なお、拙者は竹光と木刀を所持しているものの、まったく侍ではありませぬゆえ、似非侍口調はこちらのみとさせていただくこと、ご了承お願いいたしまする。


これからも楽しく読ませていただきます(^^
Posted by denald at 2007年08月15日 02:15
やぶ殿

うほほ。 ジジイも5方向でござる。w
んでも最近はこういった作業をする場合、3Dペイントソフトを使用するのが主流ではござろうな。。。
拙者実はその手のソフトを持っておりませぬ故、仕方なくphotoshopでぺたぺた塗っておりまする。 デジタルなローテクジジイでござる。w

スカルプトのペイントは、これまた「歪み」を考慮したテクスチャを必要とします故…、修正と確認作業に手間がかかり申すなあ。
お互い、精進しましょうぞ。^^


RUKIA殿

お花、有難うござりまする。 感激の至りでござる~。
昨日は久しぶりに、RUKI殿、enshin殿とゆっくりお話ができて、楽しゅうござったよ。

>オープンソース
拙者、SLの開発状況や歴史についてはあまり情報を集めてないのでござるが、
オープンソースなのは、恐らくクライアントソフト(ビューワー)なのではないかと思うでござるよ。
アバターの仕様を、皆が好き勝手にいじると…従来の服や装備品などが使用できなくなるやも知れませぬからなぁ。
アップデートされるにしても、慎重に取り扱わなければならない部分でござるな。
んでも、現在のアバターについては、「もちょっと何とかなっただろうに…」と云うのは、同感でござる。w


denald殿

ご丁寧な御口上、痛み入る。^^
拙者もは武士…とは云え、時には大工、商人、絵師、アルバイター、ピチピチギャル…と何が何やらなキャラクターでござる故、問題ナッシングでござる。

リンクも、かたじけない。^^
折角のご贔屓嬉しゅうござりますが、この先しばらく更新頻度は急激に落ちてゆく事に成り申す。
また、そのうち元気に戻って参ります故、気長にお付き合いくだされ。
Posted by KT爺KT爺 at 2007年08月15日 04:41
Hyla 殿

どもでござるー^^
やや、そういったお心遣いの置き土産でござれば、大歓迎でござる。

タイタニックは… SIMの管理人さんに追い出されてしまい申すな。w
Posted by KT爺 at 2007年08月15日 05:50
こんにちは、

>陰影は多少強調するくらいの方が、見栄えは良い

これずっと悩んでました。やはりそうですか・・。
ただなかなか思い切って描けないんですよね^^;
私にとってはその辺が課題です。
繋ぎ目に関してはベタ塗り、ブレンド、直描き、色々試したのですが、UVのグリッド単位でブレンドしてから直接リタッチする方法が今は楽だなぁと感じています。
私は人間タイプのキャラクター制作に関してはSLが初めての経験だったので大ベテランのKTGさんのSLブログはとっても参考になります。

ではでは
Posted by Asimon JacksAsimon Jacks at 2007年08月15日 11:00
Asimon 殿

こんにちは。^^ でござる。

あら。 これはちと、口調が断定的過ぎましたかな。。。
まあ、人それぞれ「好み」と云うものもあります故、
「ジジイは、そう思ってるらしいよ」 程度に考えといて下され。
最近眠りが浅いので、もしかしたら寝言かもしれませぬし。w

何だかんだ云いつつも、商品として作るからには
世の中の「需要」は無視できませぬ。
手間がかかってようがいまいが、陰影があろうが無かろううが…
「良く売れる商品」は、ひとつの正解でござろう。

なんせ、第一弾商品で世の中の需要を無視したジジイの云うことでござる。ww
要注意でござるよ。
Posted by KT爺 at 2007年08月15日 17:12
ふっふっふ・・・
買いましたぜ旦那~~
最高っす!!
私のブログで、大々的に取り上げてみました。
良ければ見に来てやっておくんなまし~~(´ー`)y─┛~~
Posted by Ayako Tenk at 2007年08月17日 05:12
Ayako 殿。

いらっしゃい。 お買い上げ、かたじけのうござる。^^

おお。 あやこ殿のブログ、拝見させて頂き申したよ~
ジジイ皮、堪能して頂けたようで何よりでござる。w

あんなに楽しそうに暴れて(笑)いる現場なら、目撃してみたかったでござるなあ。

そうそう。 このジジイの最大のネックが、似合う服がなかなか無いと言うことでござる。
お隣のSIM幕末京都まで足を伸ばせば、男ものの着物も沢山ござるが
ジジイに似合う落ち着いた色の着物は少のうござる。
拙者は良く黒の着物を着て出歩いており申すが、これも京都で購入し申した。

あと普段着としてお勧めなのが、大工の「棟梁セット」。
10L$という超良心価格でござる故、お金の無い時期から愛用しており申すが、妙に似合うので今でも手放せない逸品でござる。
こちらは、三宮のLubynarie3階にある拙者の商品ブースのお隣や、Second Job シムの老人会のお店などで購入可能でござる。

お試しあれ~。
Posted by KT爺 at 2007年08月18日 04:23
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。